一般世帯の住まいは限られた面積のなかで間取りをやりくりして作らなければなければなりません。なるべく無駄なスペースをなくし、家族が集うLDKなど多くの時間を利用する価値ある部屋は少しでもゆとりをもって作りたいものです。
注文住宅を購入するとき、完成した建売り住宅を購入するのと違い、図面を見て完成品をイメージしなければなりません。
しかしそれでも、実際に住んでから気付く失敗点が見えてくることがありがちです。
特にわかりにくいのが縦の空間イメージと採光イメージです。
思わぬところが暗くなってしまっていて窓があればよかった……各部屋の位置を違った配置にしておけばもっと広く使えて明るい部屋になったのに……とか、
リビングに階段を設けたら暖かい空気がどんどん2階へ上がって行ってしまいなかなか部屋が暖まらない……
あこがれの吹き抜けを作ったけど臭いや音が伝わりやすくて困っている……
などと、間取り図面からは想像しにくいところから失敗が発生しやすくなるものです。
完成してから失敗点がわかっても直すことが困難な場合が多く、住み始めてから何十年も思わぬ苦労を抱えながら生活していくことになってしまいます。
部屋の数や広さは間取り図面から想像できるかもしれませんが、スムーズな生活動線ができるようになっているか……とか、家具や家電・エアコンなどを設置する場所、ドアの開き方など細かい点も考えて作られていなければなりません。
間取りは家具のサイズを把握し、部屋に置いたときのイメージまで落とし込んでスペースを決めていきます。
そこまでしないと完成してから「家具が置けなかった」「ソファーを置いたけど思ってたよりも大きくてリビングが狭くなった」……などということになります。
実際に生活することを考えて、家具の設置、コンセントの位置・数、そしてなにより家族が生活しやすい動きができるかを平らな図面や3D画像からフルに頭を働かせて想像して作らなければなりません。
間取り設計ソフト3Dマイホームデザイナー13【メガソフト】【MEGASOFT】【ダウンロード版】を使って間取り図面・3D画像を見ていくことをおすすめします。
間取り設計をすることは、長く快適に暮す家にするために自分たちの生活スタイルにあった間取りの検討と入念なチェックが必須で最も重要な作業になります。
毎日の仕事をこなしながら合間を縫って作らなければならないでしょうし、時間も限られているでしょうが、一生に一度くらいとなる大きな買い物です。
じっくりといろんな問題点の発覚を想定し、建築にあたるハウスメーカーなどにも相談し、専門家の意見もどんどん取り入れていきましょう。
そこで間取り作りでの失敗例事案と成功事案をピックアップしてみました。間取り設計をする際の参考にして考えていきましょう。
失敗例
間取りの失敗編
和室を来客用に独立させたが来客などほとんどないので、そんな使わない和室はなくし、その分リビングを広くするか、和室をリビングとつなげて広く使えるようにすれば良かった
南側中央玄関にしたため、各部屋に行くための廊下が必要となり、その分リビングが狭くなった。通過するだけで利用価値があまりない廊下を少なくした間取りの方がリビングなどがその分広くとれたと思う。
トイレに窓を設けるため外に面した位置に配置したいのと、脱衣場とは別に単独で設けたいこと……それにキッチンとは離れた位置に配置したいなどの位置関係上、必要以上にトイレが広い間取りになってしまった。もう少し考える余地があったのでは……
リビングのソファからTVは見えるけど、キッチンからは見えにくい配置にしてしまった。LDKのTVはどこからでも見れる配置にした方が良かった。
家族の接点を増やすため……と思い、リビングに階段を設けたら暖かい空気がどんどん2階へ上がって行ってしまい、なかなか部屋が暖まらなかった……。
玄関からリビングを通って階段室に行くような引き戸で仕切る間取りにすれば良かった。
あこがれの吹き抜けを作ったけど臭いや音が伝わりやすくて困っている……
キッチンのゴミ箱は流し台と離れた位置にあるので、そこまでゴミを捨てるのに水が垂れたりして床が汚れてしまう。
キッチンの流し台の横に大きなゴミ箱をおけるスペースを作れば良かった。
冷蔵庫の位置をキッチンの一番奥にしてしまい、みんなが使う頻度が高いので調理中ぶつかってしまう。
キッチンの入り口側に設置すれば良かった。
2階の子供部屋を将来2つに分けられるよう仕切りの壁を作らず、小さいうちは広く使うようにしましたが、結局、子供部屋は使わずリビングで遊んでいるので、将来2つの部屋を仕切るリフォーム代が無駄になります。
最初から仕切っておいても良かったです。
主寝室と子供部屋の間にクローゼットを配置するなどして夫婦の会話が子供部屋に聞こえないようにすれば良かった。
主寝室のベットの足側には大型テレビを設置できるスペースを設ければ良かった。
2階のバルコニーの奥行を最小限の90cmの幅にしたら洗濯物を干すのでいっぱいいっぱいだったので、120cmくらいの奥行にすれば良かった。
お風呂と脱衣場はゆとりをもって1.25坪ずつにしたが、1日のうちで使う時間は少ないので、1坪ずつでも良かったかな……。その分リビングを広くすれば……。
収納の失敗編
収納庫を作ったが、ドアの位置を端にしてしまい、収納する場所が片方の壁に偏り奥のものの出し入れが面倒になった。できればドアの位置は中央にして両方の壁両面にものを収納できるようにすれば良かった。収納は坪数でではなく壁面積でとらえると良いかもしれません。
和室がなくても布団をしまえるクローゼットを作るべきだった。
廊下は通過するだけのものではなく、廊下側からの壁にクローゼットを設ければ良かった。
各部屋にクローゼットは必須です。
設備の失敗編
玄関ホールの照明スイッチをリビングにもつなげておけば良かった。そうすれば帰ってきて玄関で照明スイッチを入れ、リビングで消すことができたのに……。
でも今どきは玄関ホールや階段の照明は人感センサーライトにすればいいですね。
各部屋を仕切るドアを「開き戸」にしたが開放感を得るために「引き戸」にすれば良かった。
開き戸の扉の開く向きでものが置けなくなったり、動線が悪くなったりした。
キッチンの北側の壁に勝手口をつけたがほとんど使わないので、そのぶん収納棚を増やせば使い勝手が良かったと思う。食材をしまうスペースが足りなかった。
エアコンの風の流れを考慮したエアコン設置場所の壁を決めておけば良かった。
子供が小学生のうちは、自分の部屋で勉強するよりリビングでお母さんと一緒にした方が学力があがるとのことで、リビングに子供の勉強カウンターを設けたけど、結局ダイニングテーブルで勉強するのでカウンターは物置になり必要なかった。
2階のバルコーニーや1階のウッドデッキをテラス照明を付ければ良かった。バーベキューをしていて暗くなっても重宝します。
2階バルコニーにも水道をつけておけば良かった。ベランダガーデニングで植物に簡単に水をあげられたのに……。
2階には洗面台でなく簡単な小さな冷蔵庫が置けるミニキッチンにしておけば良かった。2階バルコニーでくつろいだり部屋で仕事をするとき重宝したと思います。2階は洗面台としてはあまり使用頻度がありません。
採光の失敗編
2階のトイレと洗面台の位置が下の図のように配置してしまったので、洗面台が壁にはさまれ日中でも暗くなってしまった。
反対にすれば階段うえのフロアーが広くもなり洗面台が明るくなったはずなのに……
北側の階段が暗くなってしまったので、FIX窓を間隔を開けて3つくらいつければ良かった
騒音で失敗編
寝室を車の通りの多い道路側に配置したため騒音が気になってしまった。一番道路から離れた奥に配置すれば良かった。
1回の主寝室の上に子供部屋があり、足音やTVの音が下に伝わってくるので眠りにくい。主寝室の天井には騒音防止のマットを入れれば良かった。
配線で失敗編
TVやオーディオ、パソコン、掃除機の充電器など、電化製品を置く位置が決まっていたのにその数にあったコンセントを設けておらず、延長コードとタコ足配線のオンパレードになってしまった。
コンセントの位置を通常どおり下の方に付けたらサイドボードなどでかくれてしまい使い勝手が悪くなった。
サイドボードの上あたりにくるようにコンセントの位置を決めれば良かった。
外観で失敗編
外観イメージを重要視してそれをもとに間取りを作ったため変な形の部屋ができてしまった。
外構が失敗編
車1台駐車できるだけのスペースしかとらず、将来の子供の自転車置き場を考えてなかった。
……などなど失敗点をあげればきりがなくでてきます。
成功例
間取り成功編
1日のうちで過ごす時間が長いLDK・脱衣場・風呂場の水回りを2階に持って来ることにより、外からの視線もなく日当たり良好で快適あることはもちろんのこと、炊事、洗濯、洗濯物をバルコニーに干す・取り込む……といった毎日の家事がひとつの流れでワンフロア―で完遂できるのでラクちん。
2階にもトイレを設置して良かった。相当使い勝手が良いです。これは絶対的に必須です。
主寝室の隣にウォークインクローゼット、その奥に書斎を配置しウォークインクローゼットの空きスペースを書斎への通路として兼用したので廊下のスペースを作らずに済んだ。
収納成功編
ウォークインクローゼットのドアの位置を真ん中にしたので両方の壁側に収納棚を作れて収納量も使いやすさもあり良かった。
下駄箱は飾り棚を設けず、壁一面に収納できるものにしたので靴の収納量に満足
玄関に小さなウォークインクローゼットを設けたので、ベビーカーやコート、子供のスケートボードやローラースケートなどがしまえて便利
設備成功編
室内物干し用に物干しざおをかけられる器具を窓の両脇につけたので雨の日でも室内干しができます。
通常壁は石膏ボードにクロスが貼ってあるだけなので、荷重量に耐えられないため、大型TVを壁掛け用出来るように壁を補強をしてもらったので、大型TVの置くスペースが縮小でき、リビングが広く感じます。
1階と2階の両方にダイソンのコードレス掃除機を設置したので掃除がラクラクです。
ゴミに気が付いたとき、わざわざ他の階に取りに行かなくてもササっと吸い込むことができます。
採光成功編
玄関ドアに縦長の採光をとれるガラスが2本入っているお陰で、玄関が明るかった。
騒音編
サッシをペアガラスにしたら外の音が聞こえなくなった。
配線の成功編
コンセントの数を電化製品を設置予定の場所にその数分設置したらタコ足配線しなくてスマートになった。
コンセントの位置を腰高窓の下あたりに設置したらコンセントの抜き差しがラクになった。
外構の成功編
フェンスを完全目隠しにして良かった。カーテンを閉めずにリビングから庭が見えて開放感が得られます。目隠しは上部からのロールブラインドで採光の調整をしてます。
外構照明を門にある表札を照らすだけでなく、下から樹木を照らす照明をつけたら、夜のイメージがとてもオシャレになった。
家づくりは出来上がってみて「あ〜ここはこうすれば良かった……」などという失敗はつきものです。
建築が始まってからではもう遅いです。
失敗しないためにも持ち家計画から自分にあったハウスメーカーや工務店選びのお手伝いをしてもらうのが良いでしょう。
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